面付けとは一つの版に対してデータをどのような向きで何点付けるかを指します。同じデザインのデータを何枚も印刷する場合は、一つの版に対して一つのデータを付けることが基本ですが、この面付けは使用する印刷機の最大対応サイズによって異なります。当工房で使用する凸版印刷機(輪転)であれば版のサイズは最大165mm×120mmです。このサイズの範囲なら可能な範囲で複数種の面付け(多面付け)ができます。オフセット印刷機やシルクスクリーン印刷機の版は更に大きいのでより多くのデータを面付けすることができます。
多面付けでシール印刷の価格を安くする為の凸版印刷機を利用した基本的な事例です。 ある商品Aのボトル容器表に貼る商品ラベルとその裏面に貼る内容表示シールを同数で作る場合、 表と裏を個別で作るとそれぞれにコストが発生して総額が上がります。そのような場合に多面付 けを利用します。
りんごジュースラベル(ミラーコート/強粘着/2点付合せ)| 実績 No:168
【仕様】
表面 商品ラベル ミラーコート紙(強粘) 75×100mm 2色印刷 シートカット
裏面 表示ラベル ミラーコート紙(強粘) 55×100mm 1色印刷 シートカット
上記仕様のデータを1つの版に付けてしまえば表と裏を個別で作るよりもコストを抑えることができます。
◎安くするポイント
*表・裏とも同じ素材を使う
*表・裏とも近いサイズにする
二つ目はオフセット印刷機を使った多面付けの事例です。ビックリマン風のステッカー3種類を3点作りたい場合、1データの配色が4色フルカラー+白引きとなり5色印刷となります。これだけでコストが高くことが想像できます。これをデータ1点ごとに作ってしまうと総額がかなり高くなるので、このような場合も多面付けを活用します。
ビックリマン風キャラクターシール(ホログラム/カラー印刷)| 実績 No:163
【仕様】※3点共通
ホログラム(強粘)+光沢ラミ 48×48mm 4色カラー+白/裏面1色 断裁(裏スリット無)
3種類を同じ版に付けて同数で印刷してから断裁しています。 個別で作るよりもかなりお安く作ることができます。
◎安くするポイント
*3種類とも同仕様にする
*3種類のサイズを統一する
複数種のシールを作る場合に多面付けはコストを下げる有効な手段です。 しかし、どのような場合でも利用できるとは限りません。場合によっては多面付け をしてもコストがあまりさがらないこともあります。ここでは多面付けでコストに 影響する要素をご紹介します。
■色数を少なくする
基本仕様編でも述べた通り、色数はコストに影響します。仮に4種類のシールを個別の各1色で印刷すると多面付けでは4色印刷になります。これを4種類共通1色にするだけでもコストはさがります。
■サイズを同じにする
サイズがバラバラなシールより、同じサイズで揃えた方が綺麗な面付けができます。面付け時の余白(空き間隔)も少なくて済むので、素材に無駄な部分が少なくなります。
■同数印刷にする
同じ版を使って同回数、印刷機に通すことになります。面付け内容がそのまま同数で仕上がるので、種類ごとに数量を分けることは基本的に難しくなります。ご希望の数量に固執すると、逆にコスト高になる場合もあるので、可能な範疇で数量は揃えた方が良いでしょう。
複数種のシール印刷を検討されている方が御見積をお申込みいただく場合、可能なら全データを合わせてお送りいただいた方が安全です。データ1種類のみの仕様では多面付けができるか判別できないことが多々あります。ご自身では多面付け可能な判断でもシール印刷の現場では不可の判断になることもあります。データのご用意が無い場合などはお電話などで担当者と打合せするもの良いでしょう。
多面付けは複数種のシールを作る時にコスト的に有効な方法です。しかし使用する印刷機や案件概要によってはコスト的に有効ではない場合もあります。今まで複数種のシールを作りたい場合に1種類だけで御見積をとられていた方は、同寸・同色・同数・同時製作の条件が揃っていれば多面付けでコストが下がるかもしれません。