「箔押し」と「ホットスタンプ」は同じ意味合いです。金や銀の薄いフィルム(これを箔と呼びます)を対象素材(シール素材)に熱転写する加工方法を指します。箔を熱で転写させるからホットスタンプです。なので「箔押しシール」や「ホットスタンプシール」は同じシールを意味します。もう少し掘り下げて解説すると、転写させたい絵柄がデザインされた箔版に熱量(100℃くらい)を加えてから、箔版部分だけの箔をシール素材に焼き付けるイメージです。言葉だけでは難しくなるので下記のイメージ図をご覧ください。
金箔や銀箔のイメージがありますが、他に白箔や赤箔、ホログラム箔などもあります。箔を取り扱う専門メーカーではお客様のご要望に答えるため、意匠性に優れた箔から、機能性を重視した箔まで様々なものがラインナップされています。下記に箔メーカーで有名な村田金箔様のカタログから一部抜粋したものをご紹介します。
▼一般的な金箔や銀箔
▼顔料系のカラー箔
▼メタリリックカラー箔
▼ホログラム箔
▼動物柄のホログラム箔
白いベースの素材に金箔や銀箔を箔押しするだけでも高級感のある仕上がりになりますが、 ベース素材を未晒クラフト紙や色上質紙などの色付き素材に変更するだけでもイメージは変わります。もちろんインキをつかった通常印刷と併用することも可能です。
※但し、箔押しはデータより太り気味に再現される傾向があります。細かなオブジェクトやテキスト部分に箔を使うと潰れて再現される可能性があります。また大きな面積に箔を適用すると箔の定着が悪く、綺麗な仕上がりにならない場合もあります。
透ける箔もあります。金箔や銀箔などのメタリックカラーの箔は基本的に透けませんが、赤や青などの箔は透過します。但しインキで印刷する場合よりも透過性は低いです。例えば透明ベースに凸版印刷で白色を印刷したラベルシールを黒い対象物に貼ると白色がかなり黒ずんでしまいます。これを白箔で対応すると透過はかなり抑えることができます。シルク印刷と比較しても遜色ないレベルと思います。
どんな用途のラベルシールにでも一般的な箔を利用できるわけではありません。例えば電子レンジで温める必要のある食品用ラベルシールに通常の金箔や銀箔を使うと、電子レンジ内でスパークする可能性があります。また金属探知機や検針器に反応させない必要のあるラベルシールに通常の金箔や銀箔を使うと機械が反応してしまいます。このような場合 は絶縁箔という特殊な箔を使うことで解消することができます。ただし、予めラベルシールのご利用目的を詳しくお聞かせいただけないと当工房でもご提案できませんので、御見積をご依頼いただく際には、単純に「商品に貼る」だけではなく、ラベルシールの貼付け対象や貼付け後の保存環境、その後のご利用方法など詳細をお聞かせいただけると助かります。
箔の種類や特性を知っておけば、どのようなデザインに向いているか自己判断ができます。
【今回のポイント5つ】
1)箔押しとホットスタンプは同じ意味合いです。
2)金箔や銀箔以外にも多彩なカラーがあります。
3)シール素材に箔押しするだけでなく、通常印刷と掛け合わせることも可能。
4)箔は透けないものもあれば、透けるものもあります。
5)用途によっては箔を使い分ける必要があります。
今回は初歩レベルの解説のつもりでしたが、「読んでもわからなかった」という方は、改めてお問合フォームからお知らせください。
▼村田金箔株式会社
https://murata-kimpaku.com/