いきなりですが、シールが貼り付かない物、貼り付きにくい物の解説です。
空気はもちろんですが、水にも貼り付きません。水に貼り付かないは水分を含んだ物にも繋がります。濡れた衣類や、水分を含んだ紙、水滴のついた容器も似たような状態です。これらにシールを貼っても簡単に剥がれてしまいます。
シールの粘着剤を水に例えると相性が悪い物は油です。油・ワックスといったワードが絡む材質やコートティングされた物に対しては相性が悪いです。一例では油分の付着した工業品、ロウソク(蝋燭)、ワックスコートされた包装紙などがあります。ガムテープの表面もワックスコートされている種類があります。
ゴム製品も粘着剤との相性が悪いです。材質としの相性の悪さに加え、他の理由もあります。輪ゴムをイメージしていただけるとわかるかもしれません。要は固形物ではないのです。ゴムを使った対象物が一定形状ではなく外的要因で変形する場合、粘着剤との相性は悪いです。
貼り付かない・貼り付きにくい対象の特徴
水(水分)、油(ワックス)、形状が一定でないetc
上記は代表的な例です。他にも貼り付かない物はあります。またシールを貼り付ける対象物の形状や材質によって貼り付かないこともあります。
上記では粘着剤との相性の悪いものを解説しましたが、剥がれやすさに関してはシール素材と対象物との相性も関連する場合があります。
ご相談いただくことの多い内容がこれです。PP材質の円柱形容器に紙素材のシールを貼ると剥がれてくるといった内容です。円筒の径(直径)にもよりますが、そもそもシールの形状は平面です。これを直径の小さな円筒に貼るとシールが元形状に戻ろうとするので、剥がれてくることがあります。特にシール自体にラミネート加工されていると、この現象が顕著になります。PP材質と粘着剤も相性はさほどよくないようです。この現象はシール素材の材質を紙からフィルムに変更することで解消できる場合があります。紙シールの厚みよりフィルム素材の方が薄いので元形状に戻る現象もマシになります。
商品ラベルを容器に巻きつけて貼る場合、ラベルの両端を重ねて貼ることがあります。この場合、ラベルに印刷されている箇所に粘着剤を重ねると、その部分から剥がれてくることがあります。これは印刷に使用するインクの成分が油に近いことが要因です。どうしても貼り合わせる必要があるのであれば、貼り合わせ箇所のみ印刷しないデザインにすることをお勧めします。また粘着材を強粘着に変更するなどで解消されることもあります。様々な角度から検証が必要です。
ここではシールの粘着材の効果を発揮させる為の基本的な条件を解説します。まずシールは基本的に表面素材と粘着層の2層構造であることをご理解ください。粘着層は表面素材と貼り付け対象を繋ぐ役割となります。注目すべきは粘着層と貼り付け対象の状態です。
まず貼り付け対象の表面は綺麗な状態であり、平面、平滑面であることが好ましいです。ホコリや水滴がついている場合は、綺麗にしてから乾燥させてください。この条件を満たしていれば、あとで冷蔵保管するラベルであっても一定の粘着効果があります。
粘着剤は常に潤っている状態がベストです。なので常温が好ましいと言えます。潤っている状態が変化すると粘着効果が薄れてきます。低温であれば硬化し、高温であれば蒸発するイメージです。潤っている状態を保つことが粘着効果を高める要因とお考えください。しかし低温や高温で使うシールの場合は、これらの条件を保つことが難しいですよね。でも大丈夫!低温であれば冷凍糊(低温で硬化しにくい)、高温であれば蒸発しにくい溶剤系の強粘着糊などがあり、環境に応じた粘着剤があります。これらを使い分けることが大事です。
いままで解説してきた内容で貼り付かない物や状態が理解はできたが、それでもシールを貼らなければならないこともありますよね。そんな時に解決できる粘着剤もあります。ここでは特殊環境でもシールの貼り付けを可能にする粘着材やシール素材をご紹介します。
※全てにおいて万能ではないので実際には効果検証が必要です。
こんな時にはトイシ用(粗面用)の粘着材があります。対象に凹凸があると凹の部分に粘着剤が入り込まないので、シールと対象の接着面積が少なくなります。トイシ用粘着材はこの凹部分にも粘着剤が入るくらいの柔らかさが特徴です。あまりに激しい凹凸には無理ですが、軽いものであれば効果があります。
トイシ用粘着剤でもシールが剥がれる鋼材があります。そんな場合には鋼材用の粘着剤を使います。白色の粘着剤を使っており、艶消し銀フィルムのみ対応しています。厚みは25ミクロンと50ミクロンがあります。特殊なシール素材ですので、コストも高くなります。
粘着剤と油との相性の悪さはありますが、これを解消する粘着剤もあります。かなり特殊な粘着剤となり、付着した油分を粘着剤が吸収して油分をなくす効果あります。こちらも特殊なシール素材ですので、コストも高くなります。
シールが貼り付くもの、貼り付かない(貼り付きにくい)ものを事前に把握しておけば、シール作成後のトラブルを避けることができます。せっかく作ったシールを無駄にしない為にもシールを作る前に確認しておくとよいでしょう。不安な場合は躊躇せず当工房へご相談ください。
お問い合わせいただく際には事前に状況を確認しておいてください。
以下、簡単なチェック項目です。
・お手元シールの仕様・・・素材・粘着剤・サイズなど
・シールの用途・・・何に使うシールか
・貼り付け対象・・・どのような形状の対象か、どのような材質か、また平面平滑面であるか。
・貼り付け後の環境・・・どんな場所で使うか。屋外、屋内など。
・サンプル送付の可否・・・お手元シールと対象物のサンプル提供が可能か?
当工房はシール印刷組合に加盟している粘着シールの印刷加工専門店です。自社で対応が難しい場合でも組合ネットワークを活用して問い合わせることも可能です。
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