CMYKもDICも色を表現するもののなかの一つです。それぞれ色に番号を当てはめており、色の種類と番号を決定することにより、特定の色を指し示せるようになります。
色の種類によって表現できる色には違いがあるため、印刷所に印刷を依頼するときには、どの色の種類を使用するのか指定する必要があります。そうしないと、自分が表現したい色味と違った印刷物になるでしょう。色の種類はCMYKとDIC以外にもさまざまなものがあります。次章では、CMYKやDICをはじめとした色の種類について、解説します。
CMYKとは、光がインクに反射して目に映る色を表すものです。Cyan(シアン)、Magenta(マゼンタ)、Yellow(黄)、Key plate(黒)の4色のインクの配分を変えることで、色が変化します。
当初は、それぞれのインクの量を減らして色を変化させる減法混色であるCMYでした。しかし、それでは黒がきれいに発色できなかったため、黒であるKが追加されています。CMYKは印刷物の基本的な色の種類ですが、金や銀、蛍光色、薄い色などの色は再現できません。また、色を混ぜて表現するため、印刷機によって色味にばらつきがあります。
CMYKがインクであるのに対し、RGBは光で表現された色のことです。光の三原色であるRed(赤)、Green(緑)、Blue(青)を組みあわせて、さまざまな色をつくりだします。RGBは光の色であるため、パソコンやスマホ、タブレットといった光で色を表現するもので使用されます。
RGBはCMYKとは違い、蛍光色や鮮やかな蛍光色なども表現可能です。パソコンでは、RGBで表現された色鮮やかな彩色であったとしても、印刷するとくすんだ印象になります。思ったとおりの色で印刷するためには、光ではなくインクで表現した色で作成しましょう。
特色とはスポットカラーとも呼ばれ、指定した色と印刷された色がまったく同じである、という特徴があります。CMYKと同じくインクで表現される色を表すものですが、CMYKとは違い印刷機によるブレがありません。また、CMYKでは表現しにくい金銀、薄い色なども表現可能です。特色のなかの代表的なものには、冒頭で紹介したDICとPANTONEがあります。
DICとは、日本のDIC株式会社が提供している特色システムです。日本では、DICが一般的であり、DICを取り扱っている印刷所も多くあります。日本国内の印刷会社に印刷を依頼するのであれば、DICのカラー番号を指定したほうが確実でしょう。DICのカラーガイドには、さまざまな種類があります。それぞれどのようなものか解説します。
DICのなかで、一番ベーシックでよく使用されるカラーガイドです。DICを象徴するような、代表的な652色があります。明るく華やかな色調、渋く落ち着いた色、蛍光色やメタリックカラーなど、CMYKでは表現できない色も入っています。
DICカラーガイドでは補いきれなかった色を収録しているカラーガイドです。そのため、DICカラーガイドよりも、繊細でこまやかな色の変化を楽しめます。薄く淡い色、鈍く地味な色、鮮やかで強い色の3種類があります。
日本らしさを表現する色をあつめたカラーガイドです。日本で昔からよく使用される伝統的な色が多種用意されています。色を指定するという役割を超えて、文化資料的な価値も認められているものです。
フランスの伝統色はフランスをイメージする色をあつめたカラーガイドです。ワインや食べ物から起因された色を321色用意されています。言葉からくる印象を、色で表したいときにおすすめです。
中国の伝統色は、中国の深い歴史を表すようなカラーガイドでしょう。古代中国から、活力あふれる近代中国のイメージを繁栄する色も収録されています。鮮やかで、すこし渋みもある色味が特徴的でしょう。
PANTONEはPANTONEというアメリカの会社が開発している特色です。DICよりもあとに開発されていますが、海外ではPANTONEが主流でしょう。PANTONEは印刷物以外にも、ファブリックやプラスチックなど、さまざまな素材に関する色を展開しています。以下では、PANTONEの印刷物向けのカラーガイドを紹介します。
2021年限定のカラーガイドです。PANTONEでもっとも売れているカラーガイドで、2019年に発表された新作を含め、2,161色もの色が収録されています。基本的でよく使用されるブラックやグレー、ベージュなどの色も豊富に含まれています。
上記で解説した、フォーミュラガイド パントン・カラー・オブ・ザ・イヤー 2021 限定版の通常版です。収録されている色の種類は限定版とまったく同じですが、カラーガイドの表紙や装丁に違いがあります。
印刷物やパッケージに適したメタリックカラーをあつめたものです。メタリックカラーはCMYKでは表現しにくいもので、特色ならではの色が多数あります。ローズゴールドなど、市販で人気の色も入っています。
CMYKでは表現しにくい、淡い色味のパステルカラーや蛍光色を多数あつめているカラーガイドです。ソフトで繊細な雰囲気を表現したいとき、鮮やかな蛍光色を使用したいときにおすすめです。
印刷物だけではなく、Webやグラフィックなどでも使用できる、多目的カラーガイドです。基本的な色にくわえ、メタリックカラー、パステルカラー、蛍光色等2,135色が収録されています。よく売れている色、トレンドの色があつまっています。
CMYKで作成したものをDICなどの特色で印刷したいときは、変換作業が必要です。Illustratorでの変換方法を解説します。
まずは、対象(オブジェクト)の色を当てはめるためのウィンドウを表示させます。そのために、以下のような手順を行ってください。
上記手順で出現させた「オブジェクトを再配色」のウィンドウで、選んだものとちかいDICカラーを探します。
上記のとおり、DICカラーガイドを選択した状態で、右下の「OK」をクリックします。そうすると、自動でDICカラーのなかからちかい色を選び変換されます。Illustratorにより自動で色が選ばれるため、思ったとおりの色にならない場合もあります。
自動変換による近似値では違うように感じる場合、自分の好みの色を選ぶこともできます。上記のとおり、「DICカラーガイド」をクリックしたあと「OK」は押さず、現在のカラーの右側にあるアイコンをダブルクリックしてください。似たようなDICカラーが表示されるため、そこから変換するDICカラーを選びましょう。
Photoshopでは、DICカラーの自動変換ではなく、該当の色にちかい色あいのDICカラーを探し出せます。
新規でPhotoshopを開き、該当の色で塗りつぶします。目的の色を選択するためには、画像から目的の色を抽出する、スポイトツールなどのソフトウェアを利用しましょう。
DICカラー番号を知りたい色を選択したあとは、カラーパレット内左上にある、該当の色で塗られた正方形をクリックしてください。そうすると、「カラーピッカー」のウィンドウが表示されます。
「カラーピッカー」のウィンドウ後は以下のような手順で、DICのカラーガイドを選択します。
表示されたDICカラーのなかから、一番ちかいと思われるものを選びましょう。
DICは、CMYKやRGBでつくられた色のすべてを表現できるわけではありません。DICカラーに変換したとしても、まったく同じ色ではなく、あくまでちかい色味が提案されます。そのため、想像と違ったものが作成されるかもしれません。
また、DICはCMYKでは表現できないメタリックカラーや蛍光色も発色可能です。しかし、こういった特殊カラーは取り扱っていない印刷所もあります。取り扱っているとしても、通常のインクよりもコストがかかる可能性が高いでしょう。
DICはどの印刷機でも同じ発色となる、特色のなかの一つです。CMYKにはない色味も出せるため、表現の幅も広がるでしょう。印刷所にDICでの印刷をお願いするときには、IllustratorやPhotoshopでDICへと変換するようにしてください。
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