ここでは、ホログラムの意味やホログラム箔押しの加工技術について詳しく解説します。
ホログラムとは、光の入り方によって色の見え方が変わる加工技術のことです。ホログラムの特徴は、赤や青のほかにも、虹をイメージさせる光沢感のある色あいです。フルカラー印刷とは異なる魅力があります。また、ホログラムの加工には特殊なレーザーを使用するため、容易に製造できない加工技術として知られています。
箔押しとは、紙の上に「箔」と呼ばれる、薄い膜のような金属のシートを接着するための印刷技術です。箔に使用される代表的な金属は金・銀・銅などで、金属を叩いて引き伸ばしたものを箔といいます。紙の上から熱した版を押しつけることで、金属のシートを圧着させる仕組みです。
箔押しは、主に接着層・金属蒸着層・着色層の多層構造になっています。紙以外には、プラスチックや皮革、ポリプロピレンなどの素材にも箔押しが可能です。
使用する版の種類によって、箔押しができる素材や加工方法が異なります。以下では、それぞれの種類について解説します。
ラバー版は、熱伝導性の高いシリコンゴムを使用しており、紙の材質や厚みを選ばず印刷できます。ゴムの弾性により、平面だけでなく曲面にも箔押しを加工できる特徴があります。また、印刷が可能な素材は紙だけではありません。たとえば、紙のように薄くやわらかい素材からプラスチックなどの硬い素材まで箔押しが可能です。
腐食版(凸版)とは、亜鉛やマグネシウム、銅などの金属板を酸で腐食させる化学反応を利用して作った版です。比較的短期間で版を仕上げられるため、後述する彫刻版よりも安いコストで作れます。版の彫りが浅いため、やや硬めの素材の箔押しに向いています。一方で、クッション性のある素材は上手く仕上げられない可能性が高いです。
彫刻版(真鍮・銅版)は、真鍮や銅などの板に刻印を施したものです。上述した版の中でも強度が高く、耐久性に優れています。また、腐食版よりも彫りが深くなり、細い文字や繊細な図柄の箔押しに向いていますが、職人が手彫りで版を作るため、制作期間やコストがかかる傾向にあります。
箔押しによる加工技術は、いつから始まったのかは未だに不明です。一説によると、日本の伝統工芸の制作過程で金箔を貼る「金貼り」という作業が起源であるともいわれています。日本の歴史をさかのぼると、鎌倉・室町時代にはすでに箔押しが行われていたことが文献などによってわかっています。現代の加工技術と異なり、当時は卵白を接着剤として使用していました。
卵白を使用した方法は昭和中期頃まで続きます。しかし、昭和中期以降に入り、イギリスで「真空蒸着法」と呼ばれる新加工技術が発明されると、卵白を使用する方法は手間がかかることから、徐々に利用されなくなりました。真空蒸着法は、現在でも利用されていることから、画期的な加工技術であることがわかります。
ホログラム箔押しを使用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。以下では、ホログラム箔押しの魅力を解説します。
一般的な印刷技術によって作られたものと比較すると、インクでは再現できない光沢感を表現できます。そのため、シンプルな文字や図柄などに加工するだけでも、目をひくデザインに仕上がります。見る角度によって色彩が赤や青、虹色などに変わるため、特別感のあるものを演出したい場合にも有効です。
エンボス加工は、凹凸のある2枚の版で挟み込むようにして加工する技術のことで、凸状に仕上がります。凹凸によって陰影が生まれ、立体感のあるデザインの演出も可能です。凸状に仕上げるエンボス加工と対照的に、凹状に加工する技術のことをデボス加工といいます。エンボス加工やデボス加工と箔押しを組み合わせることで、独創的なデザインに仕上げられます。
ホログラム箔押しは、ビジネスシーンや日常生活で使用するものの多くに利用されています。以下では、代表的な活用例を紹介します。
ホログラム箔押しは、紙幣やクレジットカードなどにも活用されている加工技術です。上述したとおり、ホログラムは特殊なレーザーを使用しており、容易に複製ができません。そのため、紙幣やクレジットカードなどの偽造防止のための技術として利用されています。また、ホログラム箔押しは、商品券などにも使用されています。
ホログラム箔押しは、名刺などの小さいサイズのものにも加工できます。名刺の印刷に使用すると、シンプルかつデザイン性の高い、洗練された名刺を作ることも可能です。一般的な名刺のデザインであっても、ホログラム箔押しを加工すれば、オリジナリティのある名刺になるため、名刺を渡した相手の記憶に残りやすくなります。
書籍やパンフレットの表紙などにも、ホログラム箔押しの印刷技術を利用できます。書籍の場合、カバーや表紙、1ページ目の遊び紙などに用いられるケースが多いです。ホログラム箔押しで加工すると、目をひくデザインになるだけでなく、書籍やパンフレットの世界観を引き立たせることも可能です。
招待状や案内状のデザインは、基本的にシンプルな絵柄や文字を使ったものが多く、差別化しづらい面があります。一方、ホログラム箔押しを加工したものは、光沢感をプラスしたデザインに仕上がるため、高級感のあるお知らせを作成できます。たとえば、イベントなどの特別な日を演出したい場合におすすめです。
ショップ・メンバーズカードにホログラム箔押しを施せば、高級感やVIP感のあるカードを演出できます。たとえば、カードの全面を金色の箔押しで加工したり、文字やロゴなどの細部にホログラム箔押しで印刷したりするなどの工夫も可能です。購入金額の累計や頻度などでカードをランク分けし、優良顧客に特別感を演出したカードを配布する際に効果的です。
ホログラム箔押しの加工技術をビジネスシーンに上手く取り入れるには、以下のポイントを参考にしてみてください。
従来の箔押し加工技術では、表現の幅に限界がありました。しかし、技術の革新により、小さい文字や図柄の表現が可能になりました。たとえば、金属の被膜の表面に微細なエンボス加工を施す「マイクロエンボス」技術や、光の反射を意図的に作り出せる「ディフラ加工」技術などです。
マイクロエンボスによる箔押しは、細かい凹凸によって控えめな光沢感を演出できます。ディフラ加工では、見る角度によって光が揺れるように表現できるため、見る度に異なる表情を楽しめる仕上がりになります。
ホログラム箔押しは、金属の皮膜によってメタリックな光沢が生み出され、高級感や繊細なデザインを演出してくれます。ホログラム箔押しと上述した最新技術を組み合わせることで、企業やブランドイメージを印象づけられる会社案内や名刺などを作ることも可能です。これにより、ブランド価値の向上も期待できます。
ホログラム箔押し加工を印刷業者に依頼する際は、以下の注意点に気をつけましょう。
基本的に、凹凸のある素材は箔押しに向いていません。印刷する素材に凹凸があると、箔が上手く圧着されないため、場合によっては穴が開いてしまうこともあります。ホログラム箔押しを依頼する際は、なるべく凹凸の少ない材質の紙を使用するようにしましょう。特定の素材にホログラム箔押しを施したい場合は、事前に加工が可能かどうかの確認をしておくことが大切です。
ホログラム箔押しを施す場合は、印刷業者に渡すデータにも注意が必要です。箔押しの作業上、インクで印刷する部分と、箔押しする部分を別のデータに分けて渡す必要があります。一般的に、インクで印刷する部分はフルカラーで表現し、箔押しする部分は黒にします。また、箔押しはインクによる印刷のように濃淡がつけられません。
カードなどの小さなものであれば、全面に箔押しできますが、加工する範囲が広すぎると失敗するリスクが高くなります。たとえば、素材と箔との間に空気が入りやすくなったり、気泡が潰れてデザインが崩れたりするなどのケースが考えられます。箔押し加工する際は、なるべくベタ部分への加工は避けるようにしましょう。
ホログラム箔押しは印刷技術のひとつで、高級感やデザイン性の高い表現が可能です。会社案内のパンフレットや名刺などに施せば、競合他社との差別化もできます。自社で使うシールのデザインで悩んでいる場合は、ホログラム箔押しを検討してみてはいかがでしょうか。
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