オフセット印刷とは、現在の主流な印刷方法のひとつです。多くの企業が制作物にオフセット印刷を採用しています。画像や写真を忠実に再現でき、大量印刷にも対応可能です。
以下では、オフセット印刷の歴史や具体的な仕組みなどについて解説します。
オフセット印刷は、石板印刷という方法をもとに開発されました。石板印刷は油と水の反発を利用する印刷方法であり、1796年に発明されています。1853年になるとイギリスでオフセット印刷が生み出され、特許が取得されました。さらに、1904年には、紙に印刷できるオフセット印刷の方法がアメリカで開発されました。
日本でオフセット印刷が普及したのは、1900年頃です。オフセット印刷に対応している外国製の印刷機が輸入されるようになりました。その後、日本国内でも、オフセット印刷ができる印刷機が製造され始めました。
オフセット印刷は、名刺や教科書などの印刷にも活用されています。紙以外のものへの印刷も可能です。
オフセット印刷という名称は、印刷方法に由来してつけられました。
オフセット印刷は、ブランケットとよばれる転写ローラーにインクを移したうえで、印刷面に転写しています。ブランケットにインクを移す工程を「オフ」、印刷面に転写する工程を「セット」と表現し、オフセット印刷という名称になりました。
オフセット印刷のくわしい仕組みについては、以下でさらに解説します。
オフセット印刷は平版印刷という印刷方法のひとつであり、版に凹凸がないところが特徴的です。親油性のインクと水の反発を利用し、デザインにあわせてインクを乗せる部分とインクを乗せない部分をわけます。印刷機の版胴に版が巻き付けられており、インクと水が供給されます。版がブランケットと接触すると、インクがブランケットに移る仕組みです。さらにそのインクが転写され、絵や文字を印刷します。
この動きを機械が高速で行うため、短い時間で素早く美しい印刷物を作成できます。
オフセット印刷機には複数の種類があります。ここでは、オフセット印刷機のそれぞれの特徴について解説します。
枚葉印刷機を使用すれば、紙に1枚ずつ印刷できます。用紙のサイズも自由に選べるため、さまざまな制作物の印刷に利用可能です。使用する印刷機にもよりますが、多色刷りが可能なだけでなく、両面に一気に印刷できる場合もあります。
自由度が高く、印刷する枚数がそれほど多くなくても問題はありません。枚葉印刷機を活用すると、ニーズにあわせてさまざまな印刷ができます。
輪転印刷機を使用する場合、大量の印刷物を短時間で仕上げられます。用紙がロール状になっており、同じ内容を高速で印刷します。印刷やインクの乾燥だけでなく、折り加工や断裁にも対応可能です。
輪転印刷機は、小ロットよりも大ロットの印刷に適しています。新聞、チラシ、雑誌など、大量の印刷物をなるべく短時間で仕上げたい場合に利用されています。生産性が高いところが大きな特徴です。
オフセット印刷と他の印刷方式には、どのような違いがあるのでしょうか。ここでは、それぞれの違いを解説します。
オンデマンド印刷とは、印刷するデータを直接読み取り、複写から製本までをまとめて処理する印刷方法です。オンデマンドとは「要求に応じて」という意味であり、希望にあわせた印刷ができます。印刷枚数が1枚のみでも対応可能です。
一方、オフセット印刷は、基本的には大量印刷に向いている方法です。たくさんの枚数をまとめて印刷したい場合はオフセット印刷が向いていますが、1枚ずつ印刷したい場合はオンデマンド印刷が適しています。
グラビア印刷は凹版印刷の一種です。色鮮やかな表現ができ、写真や絵を美しく印刷できます。「雑誌のグラビア」という表現の由来は、グラビア印刷です。金属のロールを加工し、凹凸をつけて版を作ります。溝にインクを送り込み、表現したい写真や絵を映し出す仕組みです。
版の加工に手間がかかるため、コストは高めになります。低コストで印刷したいなら、オフセット印刷のほうが向いています。
フレキソ印刷は凸版印刷のひとつです。表面が平らかつ滑らかではないものに対して印刷できます。たとえば、紙袋やダンボールへ印刷するために利用されています。大きなドラムの周りにロールと版がついており、ロールを通して版の凸部分にインクを送る仕組みです。
オフセット印刷よりも、さらに低コストで印刷できます。ただし、繊細で細やかなデザインの印刷には不向きです。
オフセット印刷にはさまざまなメリットがあります。以下で具体的なメリットについて解説します。
オフセット印刷は、短時間で大量の印刷物を作成できます。高速で印刷するため、短時間でもたくさんの印刷作業を進められるからです。特に輪転印刷機は印刷するスピードが速く、新聞のように製作期間が限られている印刷物もスムーズに印刷できます。
版があれば、必要なときにすぐ追加の印刷が可能です。重版がかかった場合も、低コストで印刷物を完成されられます。
オフセット印刷は印刷にかかる時間が単に速いだけでなく、仕上がりも綺麗である点が大きな特徴です。写真や絵を印刷するために必要な分だけのインクを正確に乗せられるため、精密な表現ができます。鮮やかな画像や細かい文字も鮮明に表現でき、高い完成度の印刷物が完成します。
オフセット印刷の仕上がりは、ほかの印刷方法と比較しても安定的です。シャープで洗練された印象があります。サイズが大きい場合も、イメージ通りの美しい印刷物を作成可能です。
オフセット印刷にもデメリットがあります。具体的にどのようなデメリットがあるか解説します。
オフセット印刷は版を作るところから始める必要があるため、ゼロの状態から印刷を依頼すると時間がかかります。また、印刷後はインクを乾燥させる必要があり、その分の時間もかかります。
オフセット印刷は完成するまでに時間がかかるため、余裕をもって依頼するのがおすすめです。ただし、納期によって料金が変わる可能性もあります。料金も確認しながら、納期を調整しましょう。
オフセット印刷の持ち味は、完成度の高い印刷物を大量に作成できる点です。大量印刷に向いているため、小ロットの印刷にはあまり適していません。小ロットの印刷ができないわけではないですが、大ロットの場合に比べて料金が割高になります。
印刷面が綺麗な制作物を少量作成したいなら、オフセット印刷ではなくオンデマンド印刷などを選んだほうがコストを抑えられます。印刷する数にあわせて最適な印刷方法を選びましょう。
オフセット印刷は、さまざまな制作物のために活用されています。具体的な活用例について解説します。
オフセット印刷はさまざまな大きさに対応できるため、大きなサイズでも問題なく印刷できます。たとえば、大サイズのラベルシールを作るためにオフセット印刷が選ばれるケースも多いです。具体的には、ハガキサイズからA3サイズまでの大きさのシールであれば、オフセット印刷がおすすめです。単色から4色程度の印刷なら、印刷面が美しいシールをスピーディに作成できます。
名刺やはがきを大量に印刷したい場合も、オフセット印刷が適しています。具体的には、名刺なら200枚以上、はがきなら100部以上を印刷する際にはオフセット印刷をおすすめします。
オフセット印刷なら、文字の細部まで鮮明に印刷でき、鮮やかな表現も可能です。顧客の目を引くデザインを美しく印刷したい場合も、オフセット印刷なら問題なく対応できます。
オフセット印刷は色の再現度が高いため、写真をたくさん掲載するパンフレットやカタログの印刷にもおすすめです。もとの写真の色味を忠実に再現でき、商品やサービスの魅力をしっかり伝えられます。
低コストで大量にパンフレットやカタログを作成したい場合はオフセット印刷を選びましょう。
オフセット印刷はたくさんの印刷物をスピーディに作成したい場合に向いています。印刷方法のなかでもメジャーであり、多くの企業がオフセット印刷による印刷物を制作しています。新聞や雑誌だけでなく、シールや名刺なども印刷可能です。大量の印刷物をまとめて印刷するために、オフセット印刷を活用しましょう。
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