シールの構造を知る
シールは大きく分けると四つのパーツで構成されています。一つ目はシールの表面素材、二つ目は粘着剤、三つめはセパレーター(台紙)です。四つ目はラミネートです。ラミネートにも粘着剤は使われていますので、厳密には五つの構成です。今回セパレーターは粘着力との関連性がありません。
まずご理解いただきたいことは表面素材とラミネートが固形物なので、形状記憶効果が作用します。表面素材の加工前は平らな状態なので、軽く巻いてみてもすぐに元の状態に戻ろうとします。ラベルを曲面に貼り付けると元に戻ろうとする反発力が作用する、『曲面反発力』により浮きや剥がれが発生する場合があります。
粘着剤がついたシール素材を対象物に貼った場合でも、形状記憶効果自体がなくなる訳ではないので、元の状態に戻ろうという機能は働いてしまい、浮きや剥がれが発生する場合があります。
粘着剤の変更を考える
形状記憶効果によりシールが剥がれてくる現象を抑える為の最初の対策が粘着強度を上げる方法です。粘着剤には普通粘着・強粘着・弱粘着・再剥離粘着などの種類があり、今回のような事例では強粘着で対応することが一般的です。普通粘着で対応して剥がれてくる場合は是非、粘着剤の変更からご検討ください。強粘着剤よりも強いトイシ(粗面)用の粘着剤もあります。
【粘着力を強くする】
弱← 普通粘着 < 強粘着 < トイシ(粗面)用 →強
粘着剤と表面素材との関連性
上記で記述した通り、筒状の対象物にラベルを貼る場合の粘着剤は強粘着剤で対応することが一般的となります。しかし直径20mmほどの対象物になると形状記憶効果が粘着力を上回り、シールが剥がれてくることもあります。そのような場合には表面素材自体を薄くすることを検討してください。厚みのある素材ほど形状記憶効果が強く働き、薄い素材ほど弱くなります。一般的に紙素材よりもフィルム素材の方が薄いので、材質自体の変更も考える必要性があります。
【表面素材を薄くする】
■表面素材を変更・・・アート73kg(強粘着)⇒ユポ80μ(強粘着)に変更
■表面加工を変更・・・PP20μ⇒PET16μに変更
まとめ
直径の小さな筒状の対象物には、強い粘着剤に対応した厚みの薄い素材に変更してみることで、ラベルの貼りつきが安定する可能性が高くなります。コストとの兼ね合いもあるので、どの組み合わせがベストなのかを確認することが必要です。
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